2020/6/21

ちょっとしたお話(完)

 
恥ずかしながら福岡大空襲の事は福岡に来て始めて知った。
それまでに福岡がどこにあるのかもはっきり分からなかった。九州のどこかにある町ぐらい?(笑)
 
いざ来て住んでみたら、住みやすくて、人も優しくて、気候もとてもよくて、
特に、韓国から近い。
何年か前に釜山に行った時は飛行機に乗って、窓の外に見える雲を見ていたら、もう着陸するとのアナウウンスを聞いて、驚いた。韓国からとても近い福岡。
韓国に帰ろうと思ったらいつでも帰れる。空港までのアクセスもとてもよい。
 
老婆は微笑みながら話を続けた。
”あれから70年経ちます。福岡も代わり、人も変わり、私もこうやって年をとりました。
戦争のかけらは見当たらないぐらい日本は変わりました。
その福岡の町で私は小料理屋を営んでいます。紆余曲折もあってけど、40年間続けてるんですよ。お店は一人で切り盛りしています。
もう、次のバス停で降ります。店は薬院にあります。福岡銀行の近くにある小さなお店で、
西の海と書いて、西海と言います。元気のあるうちは続けて行こうと思っています。気が向いたらどうぞ。ご機嫌よう“と言い残し老婆はバスから降りた。
 
 
時刻は午後5時に向かっていた。
老婆の一日は今から始まる。これからもずっと。。。(完)